2020年7月29日(水)堂島リバーフォーラムにて第2回堂島こどもアワードの審査を行いました。 審査員は、千住 博 氏(画家)、高橋 明也 氏(三菱一号館美術館 館長)、山下 裕二 氏(美術史家・明治学院大学教授)により、 大賞(低学年・高学年各1名)、優秀賞(低学年・高学年各1名)、審査員特別賞(低学年・高学年各3名)、 佳作(低学年・高学年各20名)、入選(低学年・高学年各20名)が選出されました。
渡辺 希歩(3年生) テーマ:タイムマシンにのって、どこに行ってみたい?
タイトル:「本能寺の異変」
作品説明:「本能寺の変の前にタイムスリップして織田信長を救ったら、未来の学校ではきっと宿題がなくなっているはず」
瀬田 理仁(3年生) テーマ:一つ願いごとがかなうよ、何をお願いしてみようか?
タイトル:「世界一周をしたいです」
作品説明:「飛行機にのってエジプトや南の島、中国、オランダなど旅行したい。世界中をまわってみたい」
CHAN MAN YIU(1年生) テーマ:一つ願いごとがかなうよ、何をお願いしてみようか?
タイトル:「DANCING WITH DRAGON」
作品説明:「LOOK!! I HAVE MY ANIMAL DRAGON THE FAIRY FULLFILLED MY WISH!」
松本 瑠愛(3年生) テーマ:タイムマシンにのって、どこに行ってみたい?
タイトル:「1歳の時の私」
作品説明:「1歳の時の自分が気になるから、タイムマシンに乗って見に行きたい」
田中 瑚々(2年生) テーマ:ありがとうの思い出
タイトル:「とうもろこし畑に行ったよ」
作品説明:「私の大好きなとうもろこしをこんなに美味しく育ててくれてありがとうと思って描きました。もぎたてのとうもろこしはちょっと臭いけど、ゆでたら甘くなるので不思議です。たくさんとうもろこしが食べれる夏が大好きです。」
石原 怜樹/内田 湧葵/窪田 紗英子/小南 美花/鈴木 仁乃/鈴木 花歩/鈴木 東吾/髙木 櫻/土屋 琴奈/椿本 舞耶/永井 秀弥/中嶋 凛太朗/仲宗根 拓樹/中村 柊葵/花光 悠貴/藤本 彩月/松山 真之輔/三浦 凛子/森 政翔/山城 尋
(五十音順)
石原 悠眞/乾 千歳/岩田 琉輝/川上 さら/小森 礼/西家 歌音/多田隈 結衣/永井 里奈/中西 美乃/仁科 遥/橋本 ひなた/治田 優月/方 藝圓/松井 杏詩/松田 日奈子/宮﨑 宗獅郎/守屋 蒼空/安田 理桜/吉川 晴翔/吉田 尚央
井上 咲歩(4年生) テーマ:一つ願いごとがかなうよ、何をお願いしてみようか?
タイトル:「歩こう!どこまでも!」
作品説明:「願いがかなうなら、水面を歩けるようになりたいので絵にしました。水面を歩ければ、おぼれないし、どこまでも歩いて行けるからです。人間は水面を歩けないので海の生き物たちがおどろいています。」
村上 景香(5年生) テーマ:一つ願いごとがかなうよ、何をお願いしてみようか?
タイトル:「自由な1人の世界」
作品説明:「忙しい毎日の用事を全部すてさって、静かなところでひとりでゆっくりした時間をすごしたい」
左合 桂三(5年生) テーマ:タイムマシンにのって、どこに行ってみたい?
タイトル:「昔のおやつはどんな味?」
作品説明:「もしタイムマシンがあったら昔のおやつを食べたい。なぜなら昔のおかしは今なかなかうってないから、どんな味かしらべてみたいから あと万博も見てみたいから」
矢野 正大(5年生) テーマ:一つ願いごとがかなうよ、何をお願いしてみようか?
タイトル:「迷子のねこ」
作品説明:「ぼくの家はねこを飼うことができません。でも、もしもねこが迷い込んで来てくれたら、お母さんもゆるして飼ってくれるかもしれない。」
大前 実諒(4年生) テーマ:タイムマシンにのって、どこに行ってみたい?
タイトル:「どうやって大仏はできたの?」
作品説明:「社会の授業で奈良時代について調べた時、大仏は昔は金色だったことを知りました。タイムマシンがあれば、奈良時代に行って、どうやってあの大きな大仏を作ったのか見てみたいし、金色の大仏を自分も作ってみたいと思い作品にしました。」
伊勢 弥莉/今井 奏良/鵜瀬 哲也/岡内 琥珀/川越 帆奈/川本 彩葉/立原 実玖/田中 隆之将/田端 唯夏/デビー ガヤ/永井 文人/西尾 柚綺/西村 杏樹/原 美咲/治田 陽依/久恒 莉里/宮川 陽色/宮田 楓/吉岡 駿太/吉村 直央
我妻 りん/市川 穂乃/伊藤 冬悟/大野 咲/菊池 優里南/相良 悠太朗/島田 新士/巽 琉大郎/田中 大翔/千葉 咲季/千綿 小百合/津守 紬希/長嶺 佳歩/名村 水希/長谷川 凛華/宮 響/村山 真優/盛岩 ほたる/森本 珠一心/吉倉 花菜子
こどもアワードの審査をして
よの中は、コロナで大さわぎをして、じしゅくでとてもつかれている人が多いから、こどものみなさんもつかれていないかなと心配していました。 しかし、作品をはいけんして、僕は、みなさんの心がとても元気なことがわかって、とてもうれしく感じました。本当にたくましく、のびのびしているとおもいました。 こんなすばらしい作品をかけるみなさんに、いつか会ってみたいと思いました。 どこかで僕を見かけたら、こんにちは、と声をかけてくださいね。
高学年 大賞 いのうえ さほさん「歩こう!どこまでも」 鼻もスカートもくふうして、見上げた感じがうまくでていて、とてもリアルでした。足もどうどうとしていて、力強く、手もバランスを取りながらあるいている感じがうまく出ています。
高学年 優秀賞 むらかみ けいかさん「自由な1人の世界」 静かないいふんいきがあって、さわやかな空気も感じられる作品でした。川がさらさら流れている感じがリアルで、僕もこんなところで昼寝がしたいと思いました。
高学年 審査員特別賞 さごう けいぞうさん「昔のおやつはどんな味?」 かんばんのもじがすごい迫力で、一回見たら忘れられませんでした。空のにゅうどうぐもが健康的で、思わずしんこきゅうをしてしまいました。色もはっきりしていて、太陽のひざしや温度も感じました。
高学年 審査員特別賞 おおまえ みことさん「どうやって大仏はできたの?」 大仏がリアルで迫力があって、大きさもでていて、見事ですね。 手と体のくうかんも感じられて、感心しました。
高学年 審査員特別賞 やの まさひろさん「迷子のねこ」 猫のさわった感じや、背中の丸い感じの特徴がよくかけていますね。耳の中のあたたかさも、ひげのかたさも伝わってきます。
低学年 大賞 わたなべ のあさん「本能寺の異変」 顔の表情がみんなちがっていて、がめんに動きがあって、特に、むずかしい茶色をよく使い分けていてとてもよかったです。
低学年 優秀賞 せた りひとさん「世界一周をしたいです」 ひこうきがしっかりかかれていて、行きたい所もせいかくにしらべてかいていて、ワクワクする感じが伝わってきます。いいさくひんです。
低学年 審査員特別賞 CHAN MAN YIU さん「 LOOK! IHAVE MY ANIMAL DRAGON THE FAIRU FULLFILLED MY WISH!」 色の組み合わせがきれいです。ふくやたてもののふんいきがよくでていますね。 龍の顔もいいですね。
低学年 審査員特別賞 たなか ここさん「トウモロコシ畑に行ったよ」 とうもろこしの香りもかわの手ざわりも伝わってくる、のびのびとしたとてもいい作品です。僕も食べたくなりました。
低学年 審査員特別賞 まつもと るなさん「1歳の時の私」 大胆な構図で、とても迫力があって、いいですね。あたたかいふんいきや、わらいごえもつたわってくるようです。
これまで人間が営々と積み上げてきたコミュニケーションの形式を根本から突き崩す新型コロナウィルスの災禍。その中で応募してきた700人を超えるこどもたちの作品を見ながら考えたのは、いつの時代にも、こうした子供たちの明るく、前向きの好奇心と、尽きせぬ想像力の泉が、何よりも人の社会を変え、前に進めてきたということだ。 他方で、それこそ旧石器時代の洞窟壁画から、人間の感受性は根本的に何も変わっていない、という事実がある。芸術などという高尚な呼び方をされる以前から、色を塗り、形を描き、目に見える世界を身近な場所に親しい形で蘇らせようとする力は、人間の根本的な欲求の一つであったことは間違いない。そして、子供たちが作り出す世界は、そのような人間本来の原初的な力を素直に受け継ぎ、表している。 今回も、行く末の不明瞭な周囲の状況にもかかわらず、いつものような、あるいはいつも以上に、こどもたちの輝かしく健康で無垢な力が存分に広がった作品の数々に接することができた。それはいわゆる「大人の世界」の住人たちには眩しい啓示のように映るのではないだろうか。
第二回の堂島こどもアワードは、新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれたが、なんとか審査を終えることができてほっとしている。学校、絵画教室が閉鎖された状況下だったので、応募作は減少してしまったが、第一回と同様に力作が寄せられて楽しい審査を行うことができた。 低学年の部の大賞作品、渡辺希歩さんの「本能寺の異変」は、まずは発想が素晴らしい。本能寺の変の前にタイムスリップして、織田信長を救い出す。人物の表情が絶妙で、構図も大胆。私が特に強く推した作品である。また、私の審査員特別賞、田中瑚々さんの「とうもろこし畑に行ったよ」は、伸びやかな形態感覚、簡潔な色彩感覚が見事である。 高学年の部の大賞作品、井上咲歩さんの「歩こう!どこまでも!」は、足を大胆に強調していて、鮮烈なインパクトがある作品である。また、私の審査員特別賞、大前実諒さんの「どうやって大仏はできたの?」は、大仏と人物との対比が見事で、ファンタジーがあふれている。 なお、前回も感じたことだが、絵画教室などの同じ指導者による作品には類型化したものが多く、個々の作品には力があっても、その類型化に目を奪われて強く推せなかったのは、少々残念なことだった。次回以降も、こどもならではの伸びやかな作品が多数寄せられることを期待している。